主たる業務と付随業務
行政書士法等の付随業務
「付随業務の二つの意味」
一つは、ある特定の業務について、法により規制され、資格者にのみに業務を行うことが認められている場合に、具体的に法に定められている業務以外に、当該資格者が、その認められた業務に付属した業務を行う場合、その付属した業務を付随業務と言います。二つには、具体的に主たる業務を行うときに付属して付随業務を行う場合ではなく、主たる業務とは別に、関連した業務を付随業務と言います。事実証明の流れは下記のようになります。
①事実 →② 事実証明(③事実確認 → ④事実証明書作成)
従って、事実証明の場合は、行政書士が事実証明に関する書類の作成を主たる業務として行うのですが、事実が存在して、その事実を確認して証明する、証明行為そのものを付随業務と考えています。付随業務を法定外業務とする説もありますが法律に基づく資格ですので賛成できません。
例えば、司法書士が役員変更登記をするときに、株主総会議事録を作成します。司法書士の許される業務は登記申請ですから議事録の作成はできないことになります。しかし、実際、司法書士は登記業務の付随業務として議事録の作成を行います。本来、会議の開催と言う事実が存在して、その結果議事録が作成されるわけですから、登記業務の付随に議事録の作成はありえないことになります。さらに、登記の為に議事録を作成すれば偽造になる可能性があります。実際は、事実の確認をせずに依頼人の主張通りに議事録の作成が行われるからです。本来、議事録の作成は、事実に基づいてのみ作成が許されるのです。議事録の作成は登記以前の問題なのです。
①会議の開催事実 → ②事実証明( ③事実確認 → ④議事録作成 )→ ③登記申請だからです。
しかし、そのように厳格に解すると、困るのが国民です。国民の利便を考えたとき司法書士の付随業務(関連業務)として議事録の作成ができた方が良いでしょう。その為には、登記に関連した議事録の作成を司法書士の付随業務として認めることになります。本来、登記は最終的事務の決算です。従って、付随の意味を厳格に解釈すると、最終事務としての主たるたる業務の登記に付属する業務は存在しないことになります。個別的業務に付属する業務のみを付随業務とすのではなく、主たる業務に関連する意味で付随業務を解すると全て理解できます。
※付随業務の限界は?
付属業務や関連業務と言っても、資格法で規制を受けるわけですから、他の法律に制限されていないことを条件とします。無制限に付随業務を認めれば法が形骸化してしまいます。
法の解釈も、業界エゴではなく国民の為にどのように解するかが大切と考えています。